「生成AIの本格的利用促進に向けた問題意識調査」は、企業における生成AIの導入・活用の現状を把握し、日本の企業において生成AIの本格的利用促進を妨げている具体的な課題・阻害要因を明らかにし、その解決策の示唆を得ることを目的としています。また、推進体制や教育体制の在り方などを探り、生成AIが企業にもたらす影響などを整理しました。(2026年4月/株式会社インソース総合研究所)
※本ページはサマリー版を再構成したWeb掲載用要約です。サマリー版はDLしてご参照ください。
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2026年4月17日
生成AIの本格的利用促進に向けた問題意識調査報告
【目次】
1. 調査概要・調査の特徴
2. 推進部門
3. 経営層における生成AIのとらえ方
4. 期待している効果
5. 生成AI活用状況と活用効果
6. 生成AI活用における課題
7. 人材・組織・教育の課題
8. 生成AIが企業にもたらす業務への影響や対応
9. 生成AI活用に関する中長期ビジョン/本報告書からの提言に向けて
1. 調査概要・調査の特徴
<調査概要>
<調査の特徴>
- 回答者は、生成AI活用の意思決定や運営に直接関与している回答者を中心に抽出しましたので、推進者や管理者が6割近くを占めています。
- 本調査の生成AIの範囲は、生成AI全般について確認しています。
- 生成AI活用方針(レベル)は、初級(業務効率化・コスト削減)、中級(業務プロセスの部分的改善)、上級(経営戦略・ビジネスモデル変革)を基軸として分類しました。
2. 推進部門
本アンケート調査時点では「IT・情報システム部門」が約半数の企業で推進役を担っており、技術部門主導の導入が主流です。
「経営トップ」の関与が15.0%と高くないことは、まだトップダウンでの推進がメインでない企業が多いことを示しています。
3. 経営層における生成AIのとらえ方
生成AI活用方針は、①業務効率化・コスト削減(初級)、②業務プロセスの部分的改善(中級)、③ビジネスモデル変革(上級)と設定しましたが、現在と3年後の方針推移が明確です。
現在は、①業務効率化・コスト削減目的が最多ですが、3年後には10%近く低下し、③ビジネスモデル変革が、11%以上大きく伸長しています。生成AI活用方針が、効率化から戦略的変革へとシフトしていることが明確です。
「全社的方針なし」は低下する見通しですが、「わからない」が増加しており、3年後のビジョンを描けていない企業が一定数存在します。
生成AIの活用方針を、3年後に③ビジネスモデル変革(上級)とする企業について、推進部門の違いを見ると、推進部門が経営トップである割合の増加が顕著になっています。
4. 期待している効果(短期的:1〜2年)
短期的な生成AIに対する期待は、「業務プロセスの抜本的改革」、「業務プロセスの部分的改善」など業務改革への期待や、「省力化」、「コスト削減」など、効率化への即効性を求める傾向が強く出ています。
「新規事業開発」、「企業ブランドの強化」への期待度は低く、短期的には攻めの活用より守りの効率化が優先です。
5. 生成AI活用状況と活用効果
(1)生成AI活用状況
- 初級活用(資料の作成・校正、定型文・テンプレートの自動生成、簡易翻訳・言語チェック、情報収集・調査等)で「全社的な活用」が進んでいます。
- 中級活用(データ分析・業務プロセス改善・教育自動化等)は「全社的な活用」は限定的で、導入しやすい業務を中心に導入が進んでいる段階です。
- 上級活用(新規事業・戦略支援・人材戦略・ビジネスモデル変革等)は全社レベルでの活用が限定的ですが、約半数の企業で高度活用に向けた動きが始まっている段階です。
(2)推進部門で変わる生成AI活用状況
初級活用レベルの業務については、推進部門がどこであっても4割程度で活用されています。
上級活用レベルの業務については、「経営トップ」や「AI担当役員」が推進部門の場合に2割超と高くなっています。
(3)生成AI活用効果(今後1年)
初級活用レベルの業務は、「3割程度」、「5割程度」、「7割程度」までの合計では、7割前後の企業が効果を期待しています。
中級活用レベルの業務は、“まだ効果見えず”が15%前後と、初級レベルより高めで、効果検証段階の企業が多くなっています。
上級活用レベルの業務は、最も戦略的な領域であり、足元の期待は総じて低めになっています。効果の確度を作るのが難しい領域ということがうかがえます。
6. 生成AI活用における課題
(1)生成AI活用の主要課題
生成AI活用の主要課題の中で課題意識が高い課題は、1位「社員のAIスキルやリテラシー」、2位「AI人材の確保」、3位「セキュリティ・コンプライアンス面」であり、人材面と統制面の課題が筆頭に上がっています。
また、生成AIの推進体制に関わらず、人材の教育・確保の課題が大きいことが確認されました。これは、IT部門や専門部隊の場合だけでなく、経営トップや担当役員が生成AIを推進している企業においても、人材面の課題がシリアスであることが明らかになっています。
(2)経営層のコミットメントに関する課題
経営層のコミットメントに関する課題では、「経営戦略や新規事業創出に進みにくい」、「生成AI活用の方向性や指針が社内に明確に示していない」、「運用は現場任せになっている」が上位を占めており、経営層のコミットメントの弱さ、社内での認知度や信頼性の低さが浮き彫りになっています。
(3)データ活用面/セキュリティ・コンプライアンス面
データ活用面では、「データの分散」、「形式の不統一」、「データ品質の低さ」など、統合や標準化の手前で、基盤的なデータ整備の根本的な課題を多くの企業が抱えていることが明確です。
セキュリティ・コンプライアンス面では、最大の懸念は「教育・啓蒙が不十分」であり、人的対応が重要であると認識されています。
(4)AI人材の確保/業務プロセス面/社員のAIスキルやリテラシー
AI人材の確保に関する課題では、「ノウハウ不足」、「人材不足」を最重要課題と考えており、進化の著しい生成AIに人材面・知見面で追いついていない状況が確認できます。
業務プロセス面では、半数以上の企業で、業務プロセス自体に問題があり見直しが必要であること、データ・情報の整備や標準化に課題があることが大きい障壁になっています。
社員のAIスキルやリテラシーでは、「研修機会不足」、「学習時間の不足」、「リスクへの認識不足」がトップの課題としてあげられています。
7. 人材・組織・教育の課題
(1)社内研修・教育プログラムの実施状況と形式
生成AI活用に関する社内研修や教育プログラムを「全社対象」に実施している企業は、まだ4割に満たないようです。
また、現在実施している生成AI教育の形式は、1位が“eラーニング”で5割を超えており、大規模に展開しやすい、実施しやすい形式が、導入の初期段階では多用されているようです。
ただし、今後拡充したい生成AI教育の形式としては、“eラーニング”などが低下傾向にある一方で、“ワークショップ型研修”、“課題解決型学習”、“社外コンサルタントによる伴走支援”で希望実施率が現在実施率を上回っています。
(2)社員の不安
生成AI活用に際し、社員が感じる不安の中で、上位に上がっているのは「生成AI関連研修不足」、「評価基準が不明確であること」、会社の方針が不明確」です。
また、この社員不安(Q26)と活用方針(Q7)との関係では、「全社的な方針がない・明示されてない」場合に、社員はほぼ全ての項目において最も強い不安を感じています。
8. 生成AIが企業にもたらす業務への影響や対応
今後2年の間に、どのような業務が、どの程度代替されるかの予測では、まず、オフィス系業務においては、定型的・反復的な知識労働が最初に代替される傾向があります。
また、現場・技術系業務については代替予想率がオフィス系よりは低めで、特に、専門性が求められる業務、人との関係性が求められる業務では「あまり代替されない」割合が高くなっています。
現時点での、日本企業における代替後の対応策としては、早期退職よりも社内の再配置や配置転換で吸収しようとする方針が強いですが、受け皿は十分ではありません。今後は、④の生成AI関連の新業務の拡大と、その新しい受け皿への転換への期待が高いと推定されます。
9. 生成AI活用に関する中長期ビジョン/本報告書からの提言に向けて
中長期ビジョンでは、「変革機会として捉える」、「AI人材育成・獲得」が上位で、組織変革に関するビジョンが最大の関心事になっています。
最後に、本調査の結果報告書から、①経営層による生成AI活用の方針(戦略的ビジョンの提示)は不可欠、②生成AI人材の確保・育成が最優先課題、③データ基盤の整備とセキュリティガバナンスの確立、④生成AI代替に備えた雇用・キャリアの再設計、を提言させていただいております。
≫本サマリー版については、下記よりダウンロードしてください。
【ダウンロード】生成AIの本格的利用促進に向けた問題意識調査
※本調査結果を引用いただく際には、「インソース総合研究所」と「調査名」を出所としてご記載ください。
■本報告書に関するお問合せ
株式会社 インソース総合研究所
調査研究・コンサルティング部門 理事/プリンシパル 田渕文美、主任研究員 塚田聡
web:https://www.insource-ri.co.jp