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2026年5月11日

【座談会のご報告】
シニア人材の活用促進に向けた調査報告とアイデアラウンジを開催しました

                                       調査研究・コンサルティング部門
                                        理事・プリンシパル 田渕文美
                                        主任研究員     塚田聡

2026年2月9日、インソース総合研究所は「シニア人材の活用促進に向けた調査報告とアイデアラウンジ」と題した座談会セミナーをオンラインにて開催しました。本座談会では、昨年当研究所が実施した調査結果を共有させていただき、企業規模・業種を問わず広がりつつある“シニア人材の活躍に向けた構造的課題”について、参加者の方々のご意見をいただきました。シニア人材の活用を巡る現状認識や課題について、調査結果とあわせて各社の実務経験に基づく多様な視点が示され、論点の整理を行う機会となりました。

■ 座談会の概要

日 時 : 2026年2月9日(月)14:00~15:00
方 法 : ZOOMミーティング形式にて実施
参加者 : 民間企業11社/12名様(一般職〜課長・部長クラスまで幅広くご参加)
参加企業様は製造・小売・エネルギー・情報通信・教育など多岐にわたり、実際に現場でシニア人材施策に向き合う方々により、単なる調査報告にとどまらず、参加者様が抱えておられる具体的な課題を共有していただく場になりました。

■ 当日の流れ

本座談会は、次の二部構成で進行しました。
【前半】調査報告
 ・ シニア本人の認識・期待
 ・ 人事担当者の認識・課題
 ・ 両者のギャップに関する分析
【後半】アイデアラウンジ
 ・ ZOOM投票機能を用いた定量的な意識共有
 ・ ご発言及びチャット機能による自由意見交換
 ・ 各社様が抱える現場感を共有し、最後に課題解決の方向性のご提示

   ※(左)当研究所 塚田主任研究員による調査報告、(右)田渕理事/プリンシパルによるアイデアラウンジ

■ 主な議論と参加者様コメント等

以下では、座談会の後半のアイデアラウンジで取り上げた論点について、その背景とご意見等を含めて整理しています。

① ロールモデルの提示
1つ目の論点は、シニア人材の活躍促進を考えるうえで、シニアと人事部双方の課題意識が最も高い「ロールモデルの提示不足」についてです。
投票システムにおいて、参加者様の約6割(58.3%)の方が、この点を課題として認識していると回答されました。これはアンケート結果(シニアと人事部ともに6割強)とほぼ一致しています。
続けて、提示が十分でないというご認識の原因については、下記のようなご意見がありました。たとえば、
 • 「創業20数年で、そもそもシニア人材として活躍している前例がない」(中堅・教育/経営企画)
 • 「人数が少なく、今は個別対応が中心。これから50代・40代と続くので、基準となるロールモデルが必要」(中小・特
  例/人事)
など、企業自身の歴史や規模によって“ロールモデルを作れるほど母数がない”、“制度化できるほど蓄積がない”といったご意見です。

② 評価の見える化
2つ目の論点は、「評価の見える化」です。今回は投票システムを用いて、以下の3点について意見をお聞きしました。
 • シニアの賃金体系は妥当である:36.3%
 • 個別評価を実施している:90.9%
 • 評価結果を処遇に反映している:90.9%
シニア人材の賃金体系は妥当とは思えない実態ではあるものの、評価運用は実践されているようです。ただし、同時に以下のようなコメントも寄せられました。
 • 「スキルと評価基準の定義が極めて難しい」(中堅・教育/経営企画)
 • 「期待される業務量と実際の業務量が一致しておらず、基準が必要」(中小・特例/人事)
つまり、評価プロセスは存在しているが、その前提となる“基準の設計”が整っていないという指摘が複数ありました。

③ 知識・スキル・経験の活用
3点目の論点は、知識・スキル・経験の活用面における課題として、「スキル棚卸」「スキルマップ導入」「社内データベースによるマッチング」などが進んでいないという点です。
これについては、全ての参加者様が、「スキル棚卸」「スキルマップ導入」「社内データベースによるマッチング」は有効・必要であると回答されました。
しかし、それにもかかわらず、十分に実施されない障害として、
 • 「現役社員ですらスキルの棚卸ができていない」(中堅・サービス/経営企画)
 • 「組織変更が多く、スキルデータのメンテナンスが追いつかない」(中堅・エネルギー/人事)
などといった理由により、施策が十分に実行できていない実態が共有されました。

④ 必要(新)スキルの整備・明示
4つ目の論点は、調査結果で、人事担当者が新スキルの習得面の解決策の筆頭とされた“必要スキルの整備・明示”の必要性について、全ての参加者様全員が「整備・明示できていない」と回答されました。そして、できていない理由としては、以下のような根深い構造課題が挙げられました。
 • 「個別対応が中心で、体系化・ルール化されていない」(中小・特例/人事)
 • 「必要スキルは本来、経営戦略と連動して決めるべきだが、そもそも人事戦略が存在しない」(中堅・教育/経営企画)
 • 「リスキリングを進めたいが、受講機会や意欲がまだ十分ではない」(中小・特例/人事)
定年延長・職務再設計・キャリア再構築が複雑に絡み合っている実態も浮き彫りになっています。

⑤ シニア各自の状況の違いへの理解
最後の5つ目の論点は、弊社が今回の調査設計で採用したシニアのポジションカテゴリ(年齢ではなく、定年制度なし・(役職)定年まで3年以上・(役職)定年まで2-3年・フルの再雇用・パート再雇用・業務委託など)について、日ごろどれくらい意識されているかを確認させていただいたところ、約半数の参加者様が日ごろから「意識している」と回答されました。

■ 今後のシニア人材の活躍促進に向けた処方箋

本日の座談会でのご意見等から各社のご事情も確認されましたが、今後の処方箋としては、概ね次のような方向性を示唆しているのではないかと整理しました。
 • 短期・中期・長期等の時間軸戦略を並行して推進すること
 • 対話の仕組みが組織を変えること
 • 処遇の透明化が信頼の基盤となること
 • 危機的時期への集中投資で効果が最大化すること

■ アンケートコメントに見る参加者様からのご意見

座談会終了後のアンケートには、次のような率直な感想が寄せられました。
 • 「必要スキル明示の課題が明確になり、自社の改善ポイントが整理できた」(中堅・サービス/経営企画)
 • 「シニア制度改定のPDCAを回すうえで、非常に参考になる情報だった」(中堅・エネルギー/人事)
 • 「定年延長と合わせて、役職定年の廃止もいよいよ議論すべき時期だと感じた」(中堅・製造/総務) など

■ 総括

今回の座談会を通じて浮かび上がったのは、“シニア人材の活用は、単なる制度更新ではなく、企業の人事戦略そのものの再構築を求めるテーマである”という点でした。
ロールモデル不足、必要スキルの不明確さ、評価基準の曖昧さ、スキル棚卸の難しさは、いずれも単体の課題ではなく、人材マネジメント全体の見直しと密接に関わっています。
本座談会が、各社における議論の一助となり、より持続可能なシニア活用の実現に向けた第一歩となれば幸いです。

■ サマリー版

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インソース総合研究所
調査研究・コンサルティング部門 理事/プリンシパル 田渕文美、主任研究員 塚田聡
web:https://www.insource-ri.co.jp